宮谷聡彦(入社12年目 技術職)
ー入社されたきっかけを教えてください。
宮谷:大学卒業後、映像や音楽をつくる仕事をしていましたが、30歳を目の前に、そろそろ手に職をつけて、生活の基盤を固めたいと思ったんです。自分ができることを考えたら、小学生の頃から図工や技術が得意だったなと気付き、ものづくりに携われる会社を探すようになりました。手先を使う仕事なら、世の中で少しは役に立てるのではと考えましたね。
ー仕事を覚えるまでに、どのくらい時間がかかりましたか?
宮谷:1年あれば、金型の製作から製品の完成まで、表面的に一通りの工程はなぞれると思います。ただ、ものづくりは本当に奥深い。どれだけ腕を磨いて追求してもゴールが見えないです。
これまで、多くの先輩方に仕事を教わってきました。懐に飛び込んで、ヒントをもらったら試してみて、できたところからまた積み上げての繰り返しです。
ーどんな人と一緒に働きたいですか?
宮谷:何のために仕事をしているのかも含め、自分の頭で考えて行動できる人と働きたいです。仕事をする理由が、お金をもらって生活するためであったとしても、考えて動けなければ、その対価(給与)にも跳ね返ってこないと思います。付加価値をつけたものづくりをしなければ、AIに替わられるという危機感もありますね。自分で調べ、自分なりに工夫するのがものづくりだと思います。
ー仕事をしていて大変なことを教えてください。
宮谷:営業担当からモデルを受け取って、設計する段階から『できるかな、できないかな』と思案するのは苦しいけど、そこにはどうやって実現しようと考える楽しさもある。単純に、納期が短すぎるのは厳しいかな(苦笑)。あとは、失敗の原因がわからないとき。試行錯誤しても上手くいかず、半べそかきそうになることもありましたね」
ーうれしかった瞬間について教えてください。
宮谷:自分なりにチャレンジして成功した瞬間です。先日、手作業では2日かけても完成しそうにない、細かな加工が必要な製品をつくったのですが、マシニングセンターという機械で試してみたら、ものの30分で出来上がった。あれはうれしかったですね。その経験が社内に共有されれば、次に似たような案件が来たときの選択肢が増えます。
完成までのアプローチは、工夫できる余地が多いんです。先輩のやり方を教わったら、次はそれを踏まえて別の方法を模索して…その過程も楽しめたらいいですよね。やっぱり、考えられる人が必要(笑)!」
ーでは、社内で感じている課題はありますか?
宮谷:個人的には、仕事の属人化を防いでいきたい。人手が足りず、後進を育てる余裕がなかったために、込み入った案件には中堅以上の社員が対応せざるをえない状況です。そのためにも、仲間を増やしたい。今回の募集は、業務分担の不均衡を減らし、みんなが働きやすい職場環境を整えるためだと思います。
村越真織(入社10年目 事務職)
ー入社直後から今まで、社内に変化は感じますか?
村越:この数年、製品数と取引先がすごく増えましたね。以前は、何か商品があれば、そのパーツをつくることが多かたのですが、うちから商品の状態まで組んでお届けするものも増えました。そのため、検品にかかる時間も大幅に増え、パートさんを採用しはじめました。今は、パートさんがいないと仕事が回りません。社長交代後は、若い世代が増えたのも変化です。もともと居心地はよかったのですが、より明るくなった気がします。嫌な人がいないんですよ(笑)。
ーこんな方と働きたいという希望はありますか?
村越:無理なく、周りの状況変化に気付いて対応してくれる方だとうれしいですね。あ、社長も同じこと言ってました?(笑) 試作品を手がける当社ならではだと思うのですが、現場では予期せぬ問題も起きますし、製造工程が当日変更になるケースも多いんです。油断せず、臨機応変な対応が求められます。予定通りに何事も進めたいという人は大変かもしれないですね…。だんだんとその環境に慣れてもらえたら、もちろん大丈夫です。
ー仕事をする中で、うれしかったことを教えてください。
村越:昨年、当社の省エネ活動が、省エネ大賞省エネ事例部門の「中小企業庁長官賞」を受賞したんです。
外部の方に、うちの会社を知っていただくきっかけをつくれたかな…と思うと、すごくうれしかったです。同時に受賞したのは、パナソニックやトヨタのような有名企業ばかり(笑)。今回いただいた「中小企業庁長官賞」の過去実績にも、うちほど小さい会社はなくて、すごい賞をいただいたんだなと(笑)。
ーでは、驚いたことはありますか?
村越:個人的に感心しているのが、受賞後も、淡々と省エネ活動が続けられ、さらに進化していることですね。2007年から続けているので、丸10年を超えました。これは、社員が自立して取り組んでいないと、意外とできないことじゃないかなと思います。
この活動は、社内のコミュニケーションを生み出しているんです。別の業務に携わる社員同士、男性と女性といったペアを組んで活動するので、自然と会話をする環境ができて、会社の雰囲気のよさにもつながっています。活動の成果は会議でも発表するので、さぼれないというのはあるんですけどね(笑)。
小川正義(入社11年目業界経験34年 技術職)
ー前職でも金型の製作をされていたんですね!
小川:そうですね。ただ、金型製作の分野も3D(3次元)CADの技術を身につけなくては、未来がないと感じていたのですが、前職でそれは叶わず、転職を決めました。3DCADは、杉山社長が教えてくれて、実践ですぐに使わせてもらいました。
ー金型製作の仕事内容についてお聞かせください。
小川:お客様からいただくモデルをもとに、まずは金型の設計をします。金型は、樹脂などの材料を流し込んで取り出すために二つに分割するもの。なので、どこで分けるかという判断も重要になります。人によっても、形状によっても違ってくるので、経験が必要になる部分です。
金型の加工は、4、5日で完成する場合もありますし、複雑なものだと1か月かかることもあります。社内に置かれた機械の特性を知り、使えるようにならないと、一人で仕事を進めるのは大変かなと思います。最初は経験者の指導を受けながら「この加工の場合、どの機械をどのように使うか」を自己判断する力を身に着けることが必要ですね。
技術的に難しい案件の場合、営業の打ち合わせに同席することもあります。大きなプロジェクトの場合は、チームを組んで仕事をします。
ーお休みは取りやすいですか?
小川:休みは、社長が配慮してくれてとりやすくなっています。ただ、お客様ありきの仕事なので、納期が厳しくなってくれば交代で出勤します。仕事の様子を見て、スケジュール管理してもらえたらベストですが…プライベートも大切にする時代だから、あまり言えないかな(苦笑)。
ーこの先、手がけてみたい仕事はありますか?
小川:今はとにかく、若手の社員が仕事を回せるようにサポートしたい。上の人の仕事を見て覚えてほしいという思いはあるのですが、今はそういう時代じゃない。彼らの興味をキャッチし、積極的に教えるようにしています。
今、頑張っている若手も、ものづくりが好きで我慢強い子が多いですね。そういう子は伸びますよね。
自分たちの教え方が悪いのかもしれないけど、やっと仕事を回せるようになった子が辞めてしまうのは…人数が多くない会社なので、仕方のないこととは思いながら、すごく残念です。全員で一人前の職人に育っていけたら、会社の売り上げも上がると思うし、やりがいを感じられると思います。そのためにも、自分の持つ技術を、若手に伝えていきたいですね。
佐藤一平(入社4年目 技術職)
ー入社を決めた理由はどんなところにありましたか?
佐藤:面接を受けたときに、本当にインスピレーションというか、社長の人柄がすごく自分と合う感じがしたのを覚えています。それまでは、派遣でCADを扱うエンジニアをしていたのですが、画面上での設計ではなく「リアルなものづくり」をしたいという思いがありました。時間拘束も激しかったですし、人とコミュニケーションをとりながら働きたいとも思っていました。
ー入社後にギャップは感じましたか?
佐藤:あまりなかったです。入社前に、社長と数人の社員とも会わせてもらって雰囲気の良さも感じていたので、イメージ通りでした。
あと、覚悟して入社していたのも大きいかもしれません。仕事が多い時は定時に帰れないこともあるし、一人前になるには時間がかかる。腰を据えて勉強していく必要があるよ。という話は社長から伺って、納得していました。
ー仕事をする中で、つらいこと、うれしいことはありましたか?
私は仕事のスピードが速くない方なので、想定していた時間内で加工ができないことがつらかったですね。最初は、鉄板にドリルで穴開けるのに1時間かけたりしていて…今だと1、2分ぐらいなのに…。そう思うと、少しは進歩してきているのかなと思います。まだまだですけど。
できることが増え、想定したスケジュール以上に速く加工ができたときはうれしいです。あと、まだ数回なのですが、自分が手がけた製品を見て「すごく丁寧に仕上げてくれた」とお客様がよろこばれていたと聞いたときは、うれしかったですね。
ーこの先、手がけてみたい仕事はありますか?
佐藤:当社には、入社一年を過ぎると「自分のつくってみたいものを、好きな機械を使ってつくっていい」というミッションのようなものがあります。私もつくりたいものは決まったのですが、まだそれをつくる技術が足りていません。もっと技術を身につけたいですし、金型製作以外の勉強もして、部品の加工も手がけてみたいです。
ー一緒に働きたいのは、どんな方ですか?
佐藤:一番は、根気がある人ですね。社長に言われていたとおり、自分で一通りの作業ができるまでに時間がかかるので、じっくり取り組む覚悟のある人に来ていただきたいと思います。
(文責:ライター 岡島 梓)